「今日からホームヘルパーの人が来るから、よろしくねー」「ああ、うん……」ホームヘルパー、いわゆるお手伝いさんなんて、うちには必要ない。僕としては、まったく歓迎できない。この家に母さん以外の女が来て、家事をするなんて……この家の中に、他人が入り込んでくるなんて。重たい気分でいると、インターホンが鳴った。そして、おそるおそるドアを開けると、そこには――「初めまして、真野様のお坊ちゃま。わたくし、ホームヘルパー派遣協会から派遣されてまいりました、鈴原美古都と申します」玄関の向こうに立っていたのは、思っていたよりもずいぶん若くて、思いもしなかったほど綺麗な女性だった。僕はもともと、同級生の地味な女の子ともまともに話せないような気弱な性格だ。ホームへルパーの外見だけですでに圧倒されてしまって、自分の家なのにおどおどすることしかできない。それでも、ずっとここで突っ立っているわけにはいかないから、とにかく家の中へ招き入れることにした。