両親が他界してから、ずっと僕は妹と二人暮らしだ。兄と妹…僕らは肩を寄せ合い、いつも一緒だった。「だった」と過去形で語らなければならないのはとても辛いのだけれど…。この春から大学に行き始めた妹は、それまでの中高一貫のエスカレータ式とは大きく違い、男女共学の大学へと通い出したのだ。それが全ての間違いだったと僕は後悔している。そして、たちまちカレシができてしまったのだ、妹に。僕らだけのはずの家に妹は彼氏を連れてきた。そうして二人は抱き合ったのだ、僕の眼前で。カッと頭に血が昇った。逆上し、僕は妹に襲い掛かった。それは間違いなのかもしれないけれど、もうすべては手遅れだったのだ。