一組の恋人がいた。彼氏の名前は、矢部虎太郎。「僕はだめだな」が口癖の、気弱な少年。彼女の名前は、三上晶（みかみあきら）。“笑顔と元気”を信条とする、勝ち気な少女。ネガティブな虎太郎と、ポジティブの代名詞的存在である晶。そんな正反対のふたりではあっても、幸せで穏やかな日々の中、少しずつ関係を深めつつあった。だが、悪夢は突然訪れる。以前晶が、素行の悪さを注意した相手・一ノ瀬が、ふたりの前に立ちふさがり……晶は純潔を散らされた。大好きな虎太郎の目の前で。虎太郎は何もできなかった。大好きな彼女を守れなかったのだ。それ以来一ノ瀬は、晶に自分へと身を捧げることを強要し、虎太郎にはそれを見ていることを命じ続ける。目の前で恋人が。恋人の目の前で。嫉妬、悲哀、怒り、絶望。身を焦がすそれらの感情に苛まれていく少年と少女。その運命や如何に。