日本で唯一の常夏の島『塔弦島』沖縄と変わらない緯度にありながら一年を通して真夏に近い気温を保つ不思議な島である。何故そんな不思議が起こり得るのか?それは海底火山からくる海流の影響などと言われているが、どれも噂の域を出ず、真実を知る者はいない……。【-茅羽耶の章-】冬休みを利用し、島でペンションを経営する叔母のもとに訪れた『朝倉壮太』は、ペンションでアルバイトをしながら従妹の姉妹や、幼馴染の少年と楽しい日々を過ごしていく。そんな中、壮太は立ち寄った喫茶店で一人の少女と出会った。気さくで明るい『上坂茅羽耶』という少女。初対面ながらも楽しく会話を重ね、交流を持つうちに、それが運命であるかのように少年と少女は惹かれ合う。いつの間にか出会って数日とは思えないほど親密になった二人。そして、夕暮れの浜辺で導かれるようにキスを交わす。しかし、それは悲劇の始まりだった。翌日、壮太は茅羽耶と会うために喫茶店に向かう。そこで再会した上坂茅羽耶に昨日までと何ら変化はない。いつも通り魅力に満ちた少女であった。ただ一つ、朝倉壮太という少年の記憶を失っていること以外は――。塔弦島の“秘密”と少女たちの“秘密”二つの“秘密”が紡ぎ出す不思議な島の物語が今始まる。