主人公『高柳慎』は、『株式会社藤崎服飾会社』に務める、ごく普通の社員。周囲の人間を押しのけてでも這い上がろうとする会社の風潮とは裏腹に、主人公は生真面目で、おっとりとした性格のために、会社内での地位はなかなか上がらない毎日を送っていた。同棲していた彼女『上野準』は、同期でありながらその辣腕を振るい、すでに主人公の上司となっていた。そんなある日、いつまでもうだつの上がらない主人公に、準は最後の出世のチャンスをあげようと大きな商談のとりまとめを回した。だが、その期待すらも裏切り、出世欲しさの他の人間にその仕事を半ば取られてしまい、挙句そのプロジェクトが破談して会社に致命的な損失を与えてしまう。この商談が元で、彼女に愛想を尽かされ、主人公は同棲していた部屋を追い出される。しかも、彼女の上申が元で後任の責任を取らされ、会社をクビになってしまった。途方に暮れるまま痛飲していた所、暴漢に襲われている女性を発見し、偶然助けることとなる。幸いなことに、助けた彼女…『風間恭子』の父親が『KOYAMAコーポレーション』という前にいた会社のライバル会社の人事部長をしており、いきさつを話すと娘を救ってくれたお礼に、会社の人事に口を利いてくれるとの事だった。思わず転がり込んできた幸運だったが、それもたった1日で打ち崩される。入社初日に、専務と人事部長の密談を聞いてしまったからだ。『自分は適度に出世させられて、横領の罪を着せられてクビにされる捨て駒』衝撃的な事実を突きつけられ、会社内の全てが悪意に満ちて見えてくる。主人公は、何かを隠しているらしい恭子を、横領の事に関連していると誤解し、衝動的に凌辱してしまう。しかし、隠していたのは、父親の浮気…社会的な弱みの証拠だった。それをもとに、主人公は思いつく。些細な良心など捨て、周囲の人間を押しのけて生き延びる道を。周囲の女性を次々と堕とし利用していくことで、会社の重要な地位を押さえれば、横領の罪を着せられる前に、反撃に出られると。こうして主人公は、生まれ変わる。ささやかな善意を捨て、ドス黒い悪意を持つ人間に…。