主人公・梧桐塚有事(ごどうづかゆうじ)は、しがない何でも屋。元は探偵として独立し事務所を構えていたのだが、全然パッとしないまま廃業するハメになっていた。ある日有事は、何でも屋の上部組織を金で縛っている柳条組の組長から呼び出しを受ける。しぶしぶ出向くと、有事はとある温泉宿の地上げの仕事を命令されるのだった。もちろん断る自由などなく、とりあえずその旅館へと行ってみることに――しかしそこで再会したのは、かつて結婚寸前までいった女性の妹だった。彼女は若女将として、倒れた女将の代わりに宿を切り盛りしていた。人情としては若女将の味方をしてやりたいが、これは断ることも失敗することも許されない“仕事”だ。有事は若女将の味方をして旅館を助けるのか、それとも地上げの手伝いをして旅館の権利書を譲渡させるのか――もしくは宿泊している女性たちを籠絡して関係を持ちつつ、ひたすら時間切れまで色に耽溺するという選択もある。悩んだ有事は、部下であるケンコの案を聞き入れる。それは、どの選択にするかを完全に棚上げして、ひとまず旅館に客として泊まってみるというアイデアだった。……こうして、クールを気取っている有事と、ヒロインたちとの物語が始まった。